悲しみは嫌い。
ふと電源が入っていないパソコンに映った自分の髪型がロングに見えたりすると、どきっとする。
ロングの自分は嫌いだ。悲しみを背負った女の子という感じがするから。
どうしても気取った頃のことを思い出してしまう髪型だ。私は髪を伸ばせと言われるのを、はいはいと聞きながら、肩までしか伸ばさないことを固く決意している。
ほんのちょっと、ミディアム程度。
短い髪は好きだ。楽しい感じがする。
人は話していい時と悪い時があって、炬燵なんかに入ってお互い別々のことをしていて、美味しいお菓子もあってお茶もあって、テレビもご機嫌なのに本に出てきた文章なんかで悲しい出来事思い出して、伝わらないかと思って話してしまうと「何それ、喧嘩売ってるの?」となる。
私の周りは目下そんな感じ。
悲しいけど、誰にも自分一人が体験したことは伝わらないんだ。感情は特に。
結構な大事件だったのに、私にはまだ味方がいない。そのことを伝えたいのに、伝わらない。
出て行って、と言われて悲しくもなく、「ああこの人は本当の絶望を知らないんだ」と諦める気持ちで部屋を出ていく。
あの人はああだから、と別の人に慰められて、ふーんとグルになる感じだけは嫌いだ。
この感情は私のものだ。あの人とあったことも誰にも話さない。それは卑怯者のすることだ。
だから私は今日も一人、部屋にてこんな文章を書いている。
感情は、伝わらないんだ、どうしても。
そう思っているけど、案外救われてる今を思う。
それは確かに努力の結果であり、まだ余地はあるのだ。
どこまでも邁進するのみ。
それしかない。馬鹿になって進むのだ。
暗闇など恐れるな。ただ暗いだけだ。傍にみんないて、手を繋いでる。
大丈夫、声を出して走り抜けるよ。
「わーーーーー!」
私達は一斉に叫んで見えないゴールテープを目指した。
泥が跳ねたが、気にもならなかった。