遠くには行きたくない犬。
さて、引っ越しも無事に済み、落ち着いた生活の中で、私は夜に飲む薬をつい寝過ごして夜中の二時ごろに飲んでしまい、眠くて眠くて大変だ。
働き癖を付けなきゃと、外になど出てみる。
犬はリードを付けてもらうのを待ってる。母に「リードどこー」と言ったら、棚の横に掛けてあった。
最初のとこでいいじゃん。そう思った。
家の前から駐車場を出て、商店街のとおりを歩くと、ショップサイクルと英語で明記してある新ショップが開いていて、「回転する店、回転する店」と唱えながら歩いていた。
横町に入って、うろうろ。
あ、新しい家出来てる、と思い、覗いているとおばちゃんと目が合い、「あ」となって、おはようございまーすと控えめに言うと、おはようございまーすと返って来た。
お互い言わなくちゃと思った瞬間。
八百屋さんの前を通り、河川敷まで行ってお城でも登ろうかなと思っていたら、またもや方向転換してくるくる町内を回る犬。
遠くには行きたくない。
そんな曲名あったなと思い出しながら、帰ってくると婆ちゃんとガス屋の兄ちゃんが喋ってて、ぺこりとお辞儀してくれた。
この兄ちゃんは婆ちゃんがお気に入り。
裏口から入り、犬を寝転ばせて足を拭いていると、家の前に車が止まり、吹かしている。
絶対羨ましいと思われてるなー。そう思いながら犬をころころ転がしていた。
アジの開き、アジの開き。
そう言ったら婆ちゃんが「甘ったれとるわ」と笑った。
父の山は見た目が悪くて買い手が着かないそう。だから除草剤を撒く算段を付けているのだけど、生えるものはそらしょうがない。
やっぱり商売って見た目が大事なんだな、と思わぬ弊害にちょっと驚いてる。
日々草をどうにかする父。敬服いたします。
では。