冷えた夏みかん

日々妄想、問答。

故郷にて、図書館を目指す。

昼餉の用意をしていたら、祖母の弟さんが来て、一緒にご飯を食べた。

その後、部屋に蜂が出て、窓を開けて出ていきなさーいとしていたのだが、居心地が良かったのか巣を作る算段をしている。
しゃーない、とハエたたきで潰した。
出ていく機会は与えたのに、出て行かないのだもの。それに害虫だ。

私はスプレーをしつこくかけて蜂をやっつけながら、ティッシュにくるんで捨ててやった。

その後、「図書館行ってくる」と言って出かけかけると、弟さんと父が帰宅。
弟さんに「おかえりなさーい」と言うと返事してくれた。

ジーパンだけ履き替えていきなさい。

それだけ言われ、仕方なく綺麗目のズボンに履き替えたら、これが当たっていた。
地元の図書館は、出世したらしい。

始めの頃の色物好きな輩は息をひそめ、今はすっかりブルジョワな空間だ。
受付の子の「高学歴だろうなー」と思える北乃きいちゃんみたいな子の綺麗な二重を思わず眺めながら、私は「やっぱこの地元って美形多い」と思った。

ボードに何番か書いてくれるというのも、声を出さないというルールを守っていてよろしい。

選んでいると、業者さんと司書さんが知的な会話を繰り広げていた。
ううむ、知らない世界がごまんとある。
その後受付にて本を登録していたら、切れっ気のあるご老人の相手をして、イラついたのだろう、司書さんが切れていた。

うんうん、この切れる系のところも懐かしや、地元の味だ。

私は退散退散、くわばらくわばらと図書館を後にした。
あれさえなけりゃ、完璧だったな。
ちょっと自意識の高さと反比例したさっきの出来事に、残念に思う。
だから近隣から田舎と舐められるのだ。徹底したプライドがない。言わせてもらって悪いが、都会を見てきたのでそう思う。

その後歩いてコーナンの前にいたら、「歩く気ないんやけど」と言って歩いているご老人がいて、「じゃあなんで歩いてはりますの」とぷっと笑った。

色々オープンしてんなー。

町を見てそう思う。
スポーツ店が新しく出来ていたり、前から怖い絵だと思っていた仕立て屋が閉まっていたり。

歩きながら、「弱肉強食、弱肉強食」と思った。弱っちいもんは仕方ない。怒ってる人も仕方ない。退散に限る。退散退散。
返ったら従姉妹がいて、赤ちゃんが来ていた。

 

私はベランダで一人読書に励み、知らない町の、家族に還るという本を読んだ。

どこかで犬を呼んで室内犬が鳴いている。
会いに行きたいが、今は無理。
後、この町は可愛い要素がたくさんあるのに腹黒過ぎる、と一人ごちる。

 

その後下に下りると赤ちゃんはおねむモードで、従姉妹がかっこいいので「かっこいいなー」と言うと笑っていた。ほんとにかっこいいのだ。良い育ち方をしたと思う。

 

保育園に入れるらしいのだけど、枕をどうしたか聞かれて、「いや、その頃私赤ちゃんだから、当事者に聞かないで」と言っておいた。

 

母のダジャレじみたボケが冴える。

そんな秋の田舎にて。